杜撰すぎる捜査

2014年に東京都八王子市で起きた傷害事件で起訴した男性2人は

事件と無関係だったとして東京地検立川支部は21日、2人の起訴を取り消した。

これを受け東京地裁立川支部は裁判手続きを打ち切る公訴棄却を決定した。

起訴後に被告の無実が判明して起訴を取り消すのは異例。

検察側は捜査ミスを認め、今後2人に謝罪することを検討している。

 2人はいずれも中国籍の会社経営者で47歳と39歳の男性。

14年1月に八王子市内の路上で男性2人に暴行して2週間~1カ月のけがをさせたとして、

今年3月に警視庁八王子署に逮捕された。 

   2人は一貫して容疑を否認していたが、東京地検立川支部が翌月、傷害罪で起訴した。

 しかし、犯人が逃走の際に乗ったとされるタクシーのドライブレコーダーに、

2人が使えない言語で会話し、服装も異なる男3人の姿が記録されていたことを弁護人が確認。

6月の公判で、調査を求めた。

警察や検察は捜査段階でドライブレコーダーを確認しておらず、

弁護人の指摘を受けて調査した結果、起訴は誤りだったと判断した。 

 被告の死亡や病気により審理を続けられなくなった場合に検察側が起訴を取り消すことはあるが、

誤認起訴による取り消しは異例。 

 地検幹部は「捜査が不十分だったとしか言いようがない。

確認はイロハのイで、なぜそうなったか検証する」と話し、捜査に問題があったと認めた。 

 起訴の決め手となった犯人の身長などに関する目撃証言が

大きく変遷していたとされる点については「(捜査側による)誘導はなかったと信じている」と

述べるにとどめた。

▽落合義和・東京地検次席検事の話 

大変申し訳ない。問題を検証して、同様のことを繰り返さないように努めたい。

 ▽森下元雄・警視庁組織犯罪対策総務課長の話

大変遺憾で誠に申し訳ない。事実確認をしており指導を徹底する。 

「誤認」の原因、検証を…弁護士会見 

 起訴取り消しを受け、男性2人は弁護人を通じて

「二度と同じようなことがないようにしてほしい」

とするコメントを発表した。記者会見した牛田喬允(たかまさ)弁護士らは

「客観的な証拠があるわけではなく、供述証拠が多かった。なぜ起訴されたのか疑問だった」と指摘、

検察側は誤認起訴を引き起こした捜査を検証して公表すべきだと話した。 

 牛田弁護士らによると、47歳の男性は113日勾留された末に保釈された。

「防犯カメラを調べ、一緒にいた友人に確認するよう警察官に求めたが取り合ってもらえず、

検察官からは『証人はいっぱいいる。あなたが犯人だと確信しています』と言われた」と話し、

「逮捕後、がんの告知を受けた婚約者に寄り添ってあげられなかった。

今でも悔しさで涙が出てきます」と訴えている。 

 また、98日勾留された39歳の男性は

「本当につらい経験だった。警察や検察の一方的な思い込み捜査で人生が狂わされる」と

話しているという。 

この事件は2014年1月に起こっていて、逮捕されたのが2016年3月。

この記事を読んだ時に思ったのは、2年もかけてどれだけ緻密な捜査をしていたのだろうという事。

杜撰すぎるのではないかと思いました。

検察が起訴するからには確実な証拠があるのだろうと弁護人は思っていたそうなのですが、

証拠について記載された書面には、客観的な証拠がない。

防犯カメラの映像があるらしいという事は事前に聞いていたが、犯行現場のものではなく、

現場近くの街角のカメラ映像が挙げられているだけ。タクシ-会社とタクシ-の運転手についての

記述は証拠の中にあったのだが(検察が犯人がタクシ-で逃げた事を証明するため)

タクシーのドライブレコーダーの映像は提出されていな い。警察もドライブレコーダーの存在を

認識していたようですが(タクシー運転手の方が事件直後警察署に持って行ったがその日はソフトが

なかった為見られず返却・その後、警察内で引き継ぎミスがあり内容を確認しないままになっていた)

映像を確認せず逮捕してしまっている。

また検察は、警察から上がってきた調書の目撃者証言を捻じ曲げていたという疑いも・・・・

(記者談)

 

『警察の調書には犯人は日本語が片言という事が書かれていたが

検察の調書では『片言とはイントネ-ションが違うという意味』と書かれていた。

2人が、日本語に堪能であったことから、検察が都合よくつくり変えたと思われても仕方ありません。』

警察の捜査をチェックする検察までもがこれでは、どうし ようもないのではないかと思う。

起訴の決め手になった目撃者証言に重きを置いたことは、過去に起こった氷見事件の教訓は

生かされていないのだなぁと思います。

最高検から出されている、

『氷見事件及び志布志事件における捜査・公判活動の問題点等について』には、

初対面の相手を短時間目にした事案に過ぎず、犯人特定供述の証拠価値を過大評価することは

出来ずその他の証拠により犯人性を認定することができるかを慎重に検討する必要があった

と記されている。

こうして問題点を挙げ同じ過ちを繰り返さないように検証しても

同じことが繰り返されるというのは、形だけなのかと思ったり、組織内の問題ではないかと

思ったりします。

氷見事件以外の事件でもそうですが捜査員 内で疑問視する声は上がらなかったのだろうか?

あったとしてもその声を上げられないような組織内の雰囲気があったのではないだろうか?

言いにくいことも言える風通しのいい組織は理想であって、現実はほど遠い上に立つ者の重責は

計り知れない程のものだとは思いますが、だからと言って周りに

YESマンばかりというのは、どうなのだろうかと。自分の耳に痛い事を言う人間も傍に置くことで

主観的でなく、客観的に物事を見れるような気がしますし、

それが上に立つ者の器量というものではないかと・・・。

警察・検察の捜査も、裁判官が人を裁くというのも、人がする事なので

『間違いがない』という事は絶対にないと思う。

しかし、人の人生を『究極に』左右する職業だからこそ、念には念をと思います。

いくら過ちを認めて謝罪したとしても、その時に失った社会的な立場や

信用が何もなかったかのように元に戻る、とは言い切れませんし、

その時に失ってしまった時間は絶対に戻ってきませんから。

また、こういう杜撰な一件が明るみに出ることで

組織全体がそうなのだと思われてしまう事は私にはとても、もったいないことだと思う。

一個人が持ちえない大きな力を持っているのに、

それをいい方向に使えないというのは何とも言えない気持ちになります。

それにしても、警察や検察が毎日暇なのだろうなとは思っていませんが

直接謝罪するまでに3カ月もがかかるとは・・・

(2016年11月25日に八王子署・警視庁が謝罪・29日に東京地検立川支部長が2 人に謝罪)